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『悼む人』の天童荒太さんの作品です。

少女たちと少年たちは、傷ついたところに包帯を巻く。
それは、ブランコの鎖であり、病院の屋上の金網であり、理科室の人体模型であり、鉄の扉であり、桜の枝であり、ヘルメットであり、空気の抜けたボールであり、廃墟の有刺鉄線であり、駅の地下通路であり、赤い薔薇のつるであった。


みんなが傷をもって生きている。傷は見えにくくて、外からはもちろん、自分自身さえも気づかないような、もう痛みさえわからなくなっているような傷なんだ。




大切なものを守ろうとして、懸命に戦っているつもりでいると、いつのまにか、別の大切な部分が失われている。苦い経験から、それを学んだ。
これは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした、世界の片隅の、ある小さなクラブの記録であり、途中報告書だ。
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