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2009年最後の本になった吉田修一さんの『悪人』。

この本との出会いは、横浜美術館でみた束芋さんの作品です。
新聞で『悪人』が連載されていたときに、その挿絵を描いていたのが束芋さん。
『悪人』の挿絵はもちろん、束芋さんの映像インスタレーション(場所や空間全体を作品として体験させる芸術を「インスタレーション」と言うそうです)はとても印象的で、束芋さんの世界に迷い込んで囚われてしまったようで、“みる自分”を包み込むことで作品が完成するような、不安になると同時にずっとここにいたくなるような・・・。

束芋さんの感じた『悪人』を、僕はどう感じるだろう?
そんな思いから手にした本です。


福岡と佐賀の県境の峠道、三瀬峠で石橋佳乃は絞殺された。
この事件に繋がれた多くの人びと。
清水祐一、増尾圭吾、石橋佳男、里子、房枝、憲夫、沙里、眞子、金子美保、鶴田公紀、仲町鈴香、寺内吾郎、林完治、珠代、馬込光代・・・
彼ら、彼女らは、誰に会いたかったか?
そして彼ら、彼女らは、誰に出会ったか?

人は一人では生きていけない。
どうしても、人は人と
溶け合い、絡まり合い、食い合い、傷つけ合い、通じ合い、憎しみ合い、握り合い、殺し合い、叫び合い、抱き合い、罵り合い、求め合い、触り合い、繋がり合い、愛し合い、
人は人と出合い

僕は誰に会いたかったのか?
僕は誰に出会ったのか?
僕が出会った“悪人”は、誰だったのか?

“悪人”って・・・?

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