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この素晴らしい世界を生きるために
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なぜか今まで手にとらなかった江國香織さん。
なんとなく敬遠してきたのは、きっと僕の心(あるいは魂)がまだいまはその時期じゃないと言っていたのかもしれない。

その時がきたのでしょう。
足を踏み入れたら、どっぷりでした。

『号泣する準備はできていた』、『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』、『つめたいよるに』、『がらくた』、『冷静と情熱のあいだ』

ある意味でとても読みやすく(溺れやすく)、その空気に肌が馴染んでしまい、離れがたくて、立て続けに読んでしまいました。

とりわけ、この女性たちは・・・。
美しくて、冷たくて、官能的で、か弱くて、傲慢で、寂しげで、愛にあふれていて、情熱的で、だらしなくて、現実的で、柔らかくて、どこか大人っぽくて、どこか子どもっほくて、素直で、嘘つきで、打算的で、ばかで、幸せそうで、とてもかなわないほど強くて、矛盾していて、完璧で、不器用で・・・・・・
どうしようもなく愛おしい。

こんな女性に触れたくなる。

それは、肉体的な意味ではなく(もちろんそれも魅力的だけれど)、僕のと似ているようでいつも未知で、けっして所有できない宝物のような、そんな女性の魂に触れてみたくなるということ。

この感覚は、「渇き」に似ていなくもない。


こんなふうに感じさせてくれる世界には、なかなか巡り合えるものではない。
この出逢いに感謝



もう一回しよう。愛してるわ。すごくよ。どんなに会いたかったか、もしかしてあなたにもわかってもらえないかもしれないくらい。


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世界的にも有名な宇宙物理学者、佐藤勝彦さんによる『眠れなくなる宇宙のはなし』

宇宙のはなしが大好きな僕にはぴったりの本です
それにしても、久しぶりに小説以外の本を読みました。
やっぱり前みたいにもうちょっといろんな本を読むようにしようかなと思いました。


この本のおもしろいのは、ひとが宇宙をどのように見つめてきたのかがとってもわかりやすく書かれていること。
何千年も前からひとは宇宙を見上げてきた、というそのことが当たり前のようで、奇跡なんです。


古代インドでは、世界の中心にはとてつもなく高い山がそびえていて、太陽や月、星々はその周囲を回っていた。大地は半球状で、巨大な三頭のゾウの背中に乗っていて、さらにそのゾウは巨大なカメの上に、カメはとぐろを巻いた巨大なヘビの上に乗っていた。
古代中国では、平らな四角形の大地の上に対して平行に平らな円盤状の天があり、その天が星々とともにくるくると回っていた。
ヘブライ人の宇宙では、神はまず大地を創造し、「光あれ」と唱えて光と闇を分けた。
日本ではイザナギとイザナミが国土を生んだ。
北欧では、巨人ユミルの血が海に、身体が大地に、骨は山脈に、頭蓋骨は天空になった。
インドのヒンドゥー教では、ブラフマーが宇宙卵を二つに割って天と地を作った。
古代エジプトでは、原初の海から神が生まれ、天地が造られた。


んー・・・こんな宇宙の話は本当に尽きないですね。
古代ギリシャの哲学的な宇宙も、中世キリスト教の神秘的な宇宙も、ケプラー宇宙も、ブラーエの宇宙も、ガリレオの宇宙も、ニュートンの宇宙も、アインシュタインの宇宙も、ルメートルの宇宙も、ハッブルの宇宙も、ホーキングの宇宙も・・・・・・みんなみんな「宇宙」なんです。


最新の研究では、この宇宙は137億年前に超高温のミクロの卵として生まれたと言われているけれど、知れば知るほどやっぱり宇宙は魅力的な謎で満ちています。
「無」からの宇宙創造、特異点、インフレーション膨張、宇宙の95%を占める暗黒物質や暗黒エネルギー。

それどころか、この宇宙は10の方向をもつ10次元空間の中を漂う薄い膜のような存在かもしれないなんてことまで言われているんです・・・。

もう、ひとの想像をはるかに超えています。
でもそれは遠い遠いどこかの話ではなく、まさにいまこの僕は宇宙の中にいるということ、僕も宇宙の一部なんだということが、嬉しくて嬉しくてたまらないのです


むつかしい知識なんていらないから、一緒に宇宙を見上げて、この素晴らしい世界を感じよう



奈良美智さんの絵とともに、よしもとばななさんの『アルゼンチンババア』です。

意外とまだ読んでいなかったこの本。
短い話だったけれど、やっぱり好きになってしまった。

いつもいつも、よしもとばななさんの描く愛のカタチに惚れ惚れしてしまう。

アルゼンチンババアことユリさん、お父さん、お母さん、みつこ
みんなとても悲しい思いをして、みんなとてもとても素敵なんだ。
この人たちの営みを心に思い描くだけで、ほかほかと幸せになってしまえるほどに



「どうして人が遺跡を作るのか知ってる?」
 昔ユリさんは一緒に屋上で私の買ってきたごませんべいを食べていた時、私にこうたずねた。
『カゼヲキル』は、長距離ランナーとして日本の陸上史上屈指の活躍をしたあの増田明美さんが執筆した小説です

増田明美さんは、高校在学中から長距離の日本記録を次々を塗り替え、1984年のロス五輪にマラソンで出場。13年間の陸上人生で12回の日本記録と2回の世界記録を樹立するという、怪物ランナーです。
現在は、スポーツジャーナリストとしてマラソン中継の解説などで活躍されているのを知っている人も多いのではないでしょうか?

まさに、そんな増田明美さんにしか書けない小説でした。
ほとんど陸上素人の中学生だった美岬が、一流のランナーに成長していく10年間を本当にリアルに描いています。

ライバル、怪我、大会、指導者、先輩、リハビリ、海外遠征、合宿、勝利と敗北、仲間、家族、練習、練習、練習・・・
1500m、3000m、10000m、そして、42.195km・・・

きっと、「ハシル」ことのすべてがここにある。
けっして派手な道のりではない10年間、しかしどこまでもすがすがしい。

飾らない素朴な文章が、とても合っていました。

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この夏最初の花火を見てきました

花火は昔から大好き
今回その理由がちょっとわかったような気がします。


尺五寸の超大玉が夜空にまっすぐと長い長い尾をひいたとき、ふと横を向いた僕には花火と同じくらい美しい光景が見えました。

みんながみんなぽかんと口を開けて、目をキラキラさせて、夜空に花が咲くのを待っている。

空に大きな大きな花が開くと、人の顔にも花が開く。
もう眠そうだった4歳くらいの女の子の顔にも、酔っ払った中年のおじさんの顔にも、うちわを持つおばあさんの顔にも。


同じ空を見上げて、同じ音を身体で感じて。
そんな幸せな一瞬をくれる花火が好きです
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